時間外労働の上限は?(36協定)
朝のニュースは何派ですか?
ZIP!派 めざまし派 グッドモーニング派 TBSはなんだ?
以前は あさチャン派でしたが 最近はNHK派です。
昨日の朝もなにげにNHKのニュースをながら見してたわけですが
バス運転手の労働時間の話をしていました。
厚生労働省の調査によると バスの運転手の残業時間は1ヶ月平均28時間
全産業の平均時間より18時間も長くなっています。
現在、バス会社に対して勤務終了から次の勤務開始まで8時間以上あけることや、
1日の勤務が15時間を超えるのは、週間2回までなどと基準が示されていますが
今後、さらなる改善が必要になるそうです。
厚生労働書「バス運転者の労働時間改善等の基準」
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000510308.pdf
その反面、社員さんのインタビューでは「残業代がないと生活が苦しい」といったことも
あがっていました。つまり賃金の見直しも必要になるのです。
労働時間管理って単純じゃないんですよね。
さて、皆さんの事業所では、「36協定」の届け出はできていますか?
36協定って何???? そんなことないですよね?
労働基準法では、労働時間のルールが第32条に定められています。
第32条 使用者は、労働者を休憩時間を除き1週間について40時間、
1日について8時間を超えて労働させてはならない。
つまり1週間40時間、1日8時間を超えて労働させたら法律違反になるのです。
週休2日の会社だったら 1日8時間×5日=40時間
これが労働時間の限度時間になります。
でも事業をする上では、一定期間に仕事が集中したり、トラブルがあったありと
1日の労働時間が残業で8時間を超えてしまったり、土・日の休日に緊急に
仕事をしなければいけないケースってありますよね。
そのために時間外、休日労働のルールを労基法の第36条に定めて、事業者が適法に
時間外労働や休日労働を従業員に命じる事が認められているんです。
しかし、第36条を適法にするためには、「労使協定書」の締結と労基署への届出が
必要となります。
だからこの「労使協定」を労基法第36条にちなんで 「36協定」 というわけです。
36協定には次の事項を必ず定めなければなりません。
①労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる労働者の範囲
②対象期間(1年が限度)
③労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合(事象)
④対象期間における1日、1ヶ月、1年のそれぞれの期間について労働時間を延長
して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数
⑤36協定の有効期間の定め
⑥④の1年の起算日
⑦上限規制の特例(1年の時間外労働が720時間以内)、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月
5ヶ月及び6ヶ月の期間のいずれにおいても、時間外労働及び休日労働が
月平均で80時間以内 を満たすこと。
例えば、①営業部門の従業員 ②〇〇年4月1日~△△年3月31日
③急な納品の対応や商談、クレーム対応
④5時間/1日 45時間/1ヶ月 360時間/1年間 休労は3回/月
⑤1年間 ⑥〇〇年4月1日
という具合に 労使で話し合い 協定書を結びます。
次に36協定で締結できる時間外労働時間の上限時間についてです。
原則 時間外労働が ①1ヶ月45時間以内 ②1年360時間以内です。
さらに 臨時的な特別の事情がある場合は、「特別条項」を結ぶことにより
以下の様に定めることができます。
①1年の時間外労働が720時間以内
②1ヶ月(単月)における時間外労働及び休日労働が100時間未満
③2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月5ヶ月及び6ヶ月の期間のいずれにおいても、
時間外労働及び休日労働が月平均で80時間以内
④時間外労働が月45時間(1年変形制度の場合は42時間)を超える
月数は、1年に6ヶ月以内
特に③の平均80時間以内というのがくせ者です。
詳しくは下の厚生労働書のHPをご確認ください。
厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/pdf/000463185.pdf
厚生労働省「時間外労働上限規制 ”おなやみ解決”ハンドブック」
https://www.mhlw.go.jp/content/000761382.pdf
皆さんの事業所では、36協定の締結・届け出を忘れていませんか?
事業規模が小さくなるほど締結・届出がされていない傾向がみられます。
36協定の締結・届出に事業規模での特例はありません。
未締結・未届出で1日8時間を超えて労働をさせることは 法律違反となります。
勿論、罰則もあります。
労基署から提出を求められて慌てることのないようにご注意ください。
※長時間労働は心臓・脳血管疾患、メンタル不調など働く人々の健康に影響を及ぼします。
場合によっては重大な労災事故へと発展してしまいます。
特別条項を締結すれば年間720時間の残業を命じる事ができると言うことではありません。
事業の発展のためには、そこで働く人たちが健康で生き生きとしていることが大切です。
「事業運営」と「従業員の健康」の両面を考えて適切な時間での締結をお願いします。