30年前は新入社員でした(労働条件の明示)
30年前の今頃、
大学の卒業も決まり ごそごそと下宿を引きあげる準備をしてたかな。
4年間を過ごした古都を去るとき最後に寄ったのが
なぜ二条城だったのかは今では思い出せません。
でも、あの日の妙に眩しかった青空は鮮明に覚えています。
二条城HP
https://nijo-jocastle.city.kyoto.lg.jp/
その眩しい青空を見上げた日より ちょっと前のこと
2月の下旬頃だったか 4月から入社する会社から封書が届いたのを覚えています。
中の書面には、入社後の配属先などが書かれていました。
今、思えばあれが「労働条件通知書」だったんですね。
探せばまだ何処かにあるような気がします。まあ、今さら見ても仕方がないですけど。
この春、新入社員を迎える事業所様も多いのではないでしょうか。
新たに従業員を雇い入れる際のルールも労働基準法に定められています。
そのひとつが「労働条件の明示」です。
労働基準法 第15条(労働条件の明示)
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の
労働条件を明示しなければならない。(略)
この労働条件の明示事項には、必ず明示しなければならない「絶対的明示事項」と
定めがあるなら明示する必要がある「相対的明示事項」があります。
以前にお話した「就業規則」と同じですね。
明示内容について詳しくは、こちらで御確認ください。
厚生労働省のHP「労働基準法の基礎知識」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/150312-1.pdf
入社後の労働条件が、募集要項に記載されていた内容と違っていたなんてことはダメですよね。
雇い入れる会社、雇われる従業員双方が、後になって条件が違うなんて揉め事にならないように
労働条件を きちんと明示しておく必要があるのです。
また、明示された労働条件と実際の労働条件が違っていた場合には、労働者は即時に労働契約
を解除することができます。
苦労して雇入れた従業員に「条件が全然違うので辞めます。田舎に帰る旅費出してくださいね」
なんて言われないように 注意が必要です。
次に、労働条件の明示の方法です。
絶対的明示事項(昇給に関する事項を除く)に関しては書面の交付により
明示しなければなりません。
それに対して昇給に関する事項及び相対的明示事項は、書面の交付ではなく口頭による
明示でも差し支えありません。
2019年の4月からは、労働者の希望があれば、書面ではなく電子メールやSNS等での
明示も可能となりました。
厚生労働省HP「労働基準施行規則改正のおしらせ」
https://www.mhlw.go.jp/content/000481172.pdf
労働条件の明示って雇用契約書じゃダメなの❓
そんな疑問をもたれることがあるのではないでしょうか。
勿論、雇用契約書でも代用できます。
その場合の注意点
①労働条件通知書は、会社が労働者へ一方的に渡すものですから署名・捺印(記名・押印)
は必要ありませんが、雇用契約書の場合は双方の署名・捺印(記名・押印)が必要になります。
②雇用契約書の場合は絶対的明示事項ばかりでなく相対的明示事項も含め網羅的に書面に
記す必要があります。
もうひとつ注意が必要なのは、正社員の場合です。
正社員ってパートタイマーやアルバイトと違って雇用契約を書面で結ばないことが
多いのではないではないでしょうか?
その場合は、代用するものがないわけですから労働条件通知書を交付する必要があります。
正社員への「労働条件の明示」を忘れていませんか?
労働条件通知書は、労働基準監督の定期監督の際に提出を求められることがあります。
その時になって慌てないためにも もう一度点検をお願いします。
厚生労働省のHP「労働条件通知書」雛形
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●「絶対的明示事項」(必ず明示が必要)
①労働契約の期間に関する事項
②期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
③就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
④始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、
休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業転換に関する事項
⑤賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締め切り及び支払いの時期並びに
昇給に関する事項
⑥退職に関する事項(解雇の事由を含む)
●「相対的明示事項」(定めをする場合に明示が必要)
⑦退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、及び支払いの方法
並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
⑧臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与及び1ヶ月を超える期間を基礎として
支給される精勤手当等並びに最低賃金に関する事項
⑨労働者に負担させるべき食費、作業用品そのほかに関する事項
⑩安全及び衛生に関する事項
⑪職業訓練に関する事項
⑫災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
⑬表彰及び制裁に関する事項
⑭休職に関する事項