2022-04-03 10:00:00

民法改正を勉強してみた(成年年齢引き下げ)

「二十歳になったら大人だよ。」そう言われて育った世代です。

 

明治時代から約140年 民法で定められ脈々と伝えられてきたことですもの。

 

それがつい先日 4月1日から改正民法が施行され成年年齢が「18歳」に引き下げられました。

 

目的は

 

2016年に施行された選挙権年齢の引き下げとあわせて若者たちの積極的な社会参加を促すこと。

 

では、なぜ18歳なのでしょうか?

 

OECD(経済協力開発機構)加盟国38カ国のうち35カ国で成年年齢が18歳であることなど

成年年齢18歳が世界的な主流であることが背景にあるようです。

 

30数年前、20歳の誕生日がきたら「おとな」そう思っていた 私と違い

2022年4月1日になったら18歳も19歳もみんな「おとな」

みんないっぺんに大人になってしまった皆さんは、どんな心境なのでしょうか?

認識はあるけど実感が湧かないってのが本音なんじゃないかな。

 

次に、成年になると何が変わるのでしょうか?

 

民法で定める成年年齢は、次の2つの意味があります。

 

① 一人で契約することができる年齢

② 父母の親権に服さなくなる年齢

 

つまりスマホの契約や一人暮らしの部屋の賃貸借契約を結ぶこと。

クレジットカードを作ること、車を買う時にローンを組むこと等々親の同意なしに

自分ひとりでできるようになります。

 

未成年が親の同意なしに結んだ契約は取り消すことができましたが

今後は18歳以上は成年に達しているということで取り消しができなくなります。

 

トラブル回避を目的に貸金業界では、18歳、19歳には貸し付けないなどの

自主規制をすすめているそうです。

 

しかし、知識不足などから思わぬトラブルに巻き込まれる可能性がありますので

十分に注意が必要です。

 

 

一方、20歳のまま変わらないこともあります。

 

公営競技(競馬、競輪、オートレース、競艇)の年齢制限や飲酒・喫煙。

 

これらは、健康面への影響や非行防止、青少年保護の観点から、従来の年齢要件を

維持するとされています。

 

詳しくは、法務省「民法改正 成年年齢の引き下げ」をご覧下さい。

https://www.moj.go.jp/content/001300586.pdf

 

それでは、労務管理上注意することはあるのでしょうか?

 

成年年齢が18歳に引き下げられても新成人となる労働者(18歳以上20歳未満)の

働き方に変更点はないと考えられます。

 

それは、労働基準法においては広い意味での未成年者保護といった観点ではなく未成年者をさらに

児童、年少者と区分して主に18歳未満のもに対する保護規制に重点がおかれているからです。

 

 

①児 童:満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでのもの

②年少者:満15歳に達した日以後の最初の3月31日が経過したもので18歳未満のもの

 

それぞれへの保護規制は下のURLでご確認ください。

 

厚生労働省「年少者使用の際の留意点」

https://jsite.mhlw.go.jp/tochigi-roudoukyoku/library/tochigi-roudoukyoku/hourei/kantoku/nensyou.pdf

 

労働基準法において、未成年者(18歳以上20歳未満)といった区分でひとつ注意点があります。

 

それは契約解除権に関する規定です。

 

労働基準法第58条2項

「親権者若しくは後見人又は行政官庁は、労働契約が未成年者に不利であると認められる場合に

おいては、将来に向かってこれを解除することができる」

 

労働契約も契約の一種です。親権者等による契約解除権が定められています。

 

国会では18歳、19歳のアダルトビデオの出演契約の取消しについて議論がかわされている

ようですが、ちょっとしたアルバイト契約などでも今回の民法改正により18歳以上で成年といった

観点で契約解除権が廃止され不利な契約がされないように注意が必要です。

 

最後に

 

今回の、改正民法「成年年齢引き下げ」において労務管理上大きな変更点はありません。

 

変更点はありませんが、皆さんの事業所で働く新成人たちが思わぬトラブルに巻き込まれ

ないように「おとな」の先輩として私たちがしっかりとフォローすることが大切なのでは

ないでしょうか。

 

トラブルに巻き込まれてしまったら 仕事のパフォーマンスが落ちるばかりではなく健康を害して

働けなくなってしまうリスクも考えられます。

 

若者は、事業所にとっても社会にとっても大切な財産です。

 

悪質な業者は、未成年取消権がなくなるタイミングを狙って手ぐすねを引いています。

 

そんな悪質業者に私たちの大切な財産を奪われないようにするためにも今回の改正を機会に

「パーソナル・ファイナンス」といった観点からの従業員教育を考えてみてはいかがでしょうか。

 

2022-03-27 10:00:00

健康づくりのはじめの一歩(雇入れ時の健康診断)

労働条件通知書の準備はできましたか?

 

いよいよ4月が迫ってきました。

あれもやらなくては、これもまだできていない・・・・

年度末の処理 そして 新年度の準備とバタバタではないでしょうか?

積み残しがないようにチェックリストで確認するのが効果的です。

 

さて 労働条件通知書の準備ができたら 次は健康診断です。

 

事業主は、常時使用する従業員を雇入れる場合、医師による健康診断を

実施しなければなりません。

 

これを「雇入れ時の健康診断」といいます。

 

ここで言う「常時使用する」とは

1週間の所定労働時間が通常の従業員の3/4以上のもので次のいずれかに該当するものです。

 

つまり下のいずれかの要件に該当すれば、正社員、パート、アルバイトといった従業員区分に

関係なく実施しなければならない健康診断です。

 

①期間の定めのない契約で雇用するもの

②1年以上雇用する予定であるもの

③契約更新により1年以上雇用されているもの

 (※特定業務の場合は、1年を6ヶ月に読み替える)

 

4月に新入社員を迎え入れる場合も当然必要ということがわかります。

 

 

「雇入れ時の健康診断」???

 

1年に一回実施される「定期健康診断」に比べ 「雇入れ時の健康診断」は

その実施時期や内容についてピントこない感じがするのではないでしょうか。

 

健康診断については、労働安全衛生法第66条に定められています。

そして労働安全衛生規則第43条に「雇入れ時の健康診断」についてその詳細が定められています。

 

「雇入れ時の健康診断」と「定期健康診断」の診断項目については下のURLでご確認ください。

 

厚生労働省「定期健康診断について」

https://jsite.mhlw.go.jp/tochigi-roudoukyoku/library/tochigi-roudoukyoku/seido/eisei/teiki.pdf

 

次に雇入れ時の健康診断の実施時期です。

 

実施時期については、雇入れ前後と明確に定められていませんが 下の①②を勘案すると

雇入れ前後3ヶ月以内に実施することが望ましいと考えられます。

 

①雇入れ時の健康診断の目的が雇入れの際の適正配置や入社後の健康管理とされていること。

②医師による健康診断を受けた後、3ヶ月を経過しないものを雇入れる場合は、

 当該健康診断の結果を証明する書面を提出した場合は、健康診断に相当する項目は、

 省略できると定められていること(労働安全衛生規則第43条)

 

それでは、あらたに従業員を雇入れたタイミングで「定期健康診断」が実施される場合

その健康診断で「雇入れ時の健康診断」の代用は可能でしょうか?

 

答は 代用可能です。

 

上のURLで見たように「雇入れ時の健康診断」と「定期健康診断」の健診項目に違いはないからです。

 

但し、注意することがあります。

 

「定期健康診断」の場合、一部の項目について医師の判断により省略することができます。

しかし「雇入れ時の健康診断」の代用とする場合は、省略することなくすべての項目について

実施する必要があります。

 

逆に「雇入れ時の健康診断」を実施していれば、その後1年間の「定期健康診断」を省略する

ことが可能となります。

 

皆さんの事業所では、「雇入れ時の健康診」は実施されいましたか?

 

「雇入れ時の健康診断」や「定期健康診断」等 法律で定められてりる健康診断が

実施されていないと労働基準監督署から是正勧告をうけたり罰金を課せられる事となります。

 新たに従業員を雇入れる際には、労働条件の通知とあわせて健康診断の準備を忘れないように

注意してください。

 

法令にも基づく健康診断の種類いついては下のURLでご確認ください。

厚生労働省「健康診断を実施しましょう」

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/130422-01.pdf

 

※生活習慣や食生活の変化などの影響のせいなのか 30年前に新入社員だった

 私の時代ではあり得なかった項目で驚く数値をたたき出す若者が増えています。

 健康で長く活躍してもらうためにも「雇入れ時の健康診断」の結果を上手に利用して

 従業員の生活習慣の改善、健康増進になげていきましょう。

2022-03-20 10:00:00

30年前は新入社員でした(労働条件の明示)

30年前の今頃、

大学の卒業も決まり ごそごそと下宿を引きあげる準備をしてたかな。

4年間を過ごした古都を去るとき最後に寄ったのが

なぜ二条城だったのかは今では思い出せません。

でも、あの日の妙に眩しかった青空は鮮明に覚えています。

 

二条城HP

https://nijo-jocastle.city.kyoto.lg.jp/

 

その眩しい青空を見上げた日より ちょっと前のこと

2月の下旬頃だったか 4月から入社する会社から封書が届いたのを覚えています。

中の書面には、入社後の配属先などが書かれていました。

 

 今、思えばあれが「労働条件通知書」だったんですね。

探せばまだ何処かにあるような気がします。まあ、今さら見ても仕方がないですけど。

 

この春、新入社員を迎える事業所様も多いのではないでしょうか。

新たに従業員を雇い入れる際のルールも労働基準法に定められています。

 

そのひとつが「労働条件の明示」です。

 

労働基準法 第15条(労働条件の明示)

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の

労働条件を明示しなければならない。(略)

 

この労働条件の明示事項には、必ず明示しなければならない「絶対的明示事項」と

定めがあるなら明示する必要がある「相対的明示事項」があります。

以前にお話した「就業規則」と同じですね。

 

明示内容について詳しくは、こちらで御確認ください。

厚生労働省のHP「労働基準法の基礎知識」

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/150312-1.pdf

 

入社後の労働条件が、募集要項に記載されていた内容と違っていたなんてことはダメですよね。

雇い入れる会社、雇われる従業員双方が、後になって条件が違うなんて揉め事にならないように

労働条件を きちんと明示しておく必要があるのです。

また、明示された労働条件と実際の労働条件が違っていた場合には、労働者は即時に労働契約

を解除することができます。

苦労して雇入れた従業員に「条件が全然違うので辞めます。田舎に帰る旅費出してくださいね」

なんて言われないように 注意が必要です。

 

 次に、労働条件の明示の方法です。

 

絶対的明示事項(昇給に関する事項を除く)に関しては書面の交付により

明示しなければなりません。

それに対して昇給に関する事項及び相対的明示事項は、書面の交付ではなく口頭による

明示でも差し支えありません。

2019年の4月からは、労働者の希望があれば、書面ではなく電子メールやSNS等での

明示も可能となりました。

 

厚生労働省HP「労働基準施行規則改正のおしらせ」

https://www.mhlw.go.jp/content/000481172.pdf

 

労働条件の明示って雇用契約書じゃダメなの❓

そんな疑問をもたれることがあるのではないでしょうか。

勿論、雇用契約書でも代用できます。

 

その場合の注意点

①労働条件通知書は、会社が労働者へ一方的に渡すものですから署名・捺印(記名・押印)

 は必要ありませんが、雇用契約書の場合は双方の署名・捺印(記名・押印)が必要になります。

 

②雇用契約書の場合は絶対的明示事項ばかりでなく相対的明示事項も含め網羅的に書面に

 記す必要があります。

 

もうひとつ注意が必要なのは、正社員の場合です。

 

正社員ってパートタイマーやアルバイトと違って雇用契約を書面で結ばないことが

多いのではないではないでしょうか?

その場合は、代用するものがないわけですから労働条件通知書を交付する必要があります。

正社員への「労働条件の明示」を忘れていませんか?

 

労働条件通知書は、労働基準監督の定期監督の際に提出を求められることがあります。

その時になって慌てないためにも もう一度点検をお願いします。

 

厚生労働省のHP「労働条件通知書」雛形

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/youshiki_01a.pdf

*******************************************

●「絶対的明示事項」(必ず明示が必要)

①労働契約の期間に関する事項

②期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項

③就業の場所及び従事すべき業務に関する事項

④始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、

 休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業転換に関する事項

⑤賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締め切り及び支払いの時期並びに

 昇給に関する事項

⑥退職に関する事項(解雇の事由を含む)

 

●「相対的明示事項」(定めをする場合に明示が必要)

⑦退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、及び支払いの方法

 並びに退職手当の支払いの時期に関する事項

⑧臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与及び1ヶ月を超える期間を基礎として

 支給される精勤手当等並びに最低賃金に関する事項

⑨労働者に負担させるべき食費、作業用品そのほかに関する事項

⑩安全及び衛生に関する事項

⑪職業訓練に関する事項

⑫災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項

⑬表彰及び制裁に関する事項

⑭休職に関する事項

2022-03-12 10:00:00

時間外労働の上限は?(36協定)

朝のニュースは何派ですか?

 

ZIP!派 めざまし派 グッドモーニング派 TBSはなんだ?

 

以前は あさチャン派でしたが 最近はNHK派です。

 

昨日の朝もなにげにNHKのニュースをながら見してたわけですが

バス運転手の労働時間の話をしていました。

 

厚生労働省の調査によると バスの運転手の残業時間は1ヶ月平均28時間

全産業の平均時間より18時間も長くなっています。

 

現在、バス会社に対して勤務終了から次の勤務開始まで8時間以上あけることや、

1日の勤務が15時間を超えるのは、週間2回までなどと基準が示されていますが

今後、さらなる改善が必要になるそうです。

厚生労働書「バス運転者の労働時間改善等の基準」

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000510308.pdf

その反面、社員さんのインタビューでは「残業代がないと生活が苦しい」といったことも

あがっていました。つまり賃金の見直しも必要になるのです。

労働時間管理って単純じゃないんですよね。

 

さて、皆さんの事業所では、「36協定」の届け出はできていますか?

 

36協定って何???? そんなことないですよね?

 

労働基準法では、労働時間のルールが第32条に定められています。

第32条 使用者は、労働者を休憩時間を除き1週間について40時間、

1日について8時間を超えて労働させてはならない。

 

つまり1週間40時間、1日8時間を超えて労働させたら法律違反になるのです。

週休2日の会社だったら 1日8時間×5日=40時間

これが労働時間の限度時間になります。

 

でも事業をする上では、一定期間に仕事が集中したり、トラブルがあったありと

1日の労働時間が残業で8時間を超えてしまったり、土・日の休日に緊急に

仕事をしなければいけないケースってありますよね。

 

そのために時間外、休日労働のルールを労基法の第36条に定めて、事業者が適法に

時間外労働や休日労働を従業員に命じる事が認められているんです。

 

しかし、第36条を適法にするためには、「労使協定書」の締結と労基署への届出が

必要となります。

 

だからこの「労使協定」を労基法第36条にちなんで 「36協定」 というわけです。

 

36協定には次の事項を必ず定めなければなりません。

 

①労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる労働者の範囲

②対象期間(1年が限度)

③労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合(事象)

④対象期間における1日、1ヶ月、1年のそれぞれの期間について労働時間を延長

 して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数

⑤36協定の有効期間の定め

⑥④の1年の起算日

⑦上限規制の特例(1年の時間外労働が720時間以内)、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月

 5ヶ月及び6ヶ月の期間のいずれにおいても、時間外労働及び休日労働が

 月平均で80時間以内 を満たすこと。

 

例えば、①営業部門の従業員 ②〇〇年4月1日~△△年3月31日 

    ③急な納品の対応や商談、クレーム対応

    ④5時間/1日 45時間/1ヶ月 360時間/1年間 休労は3回/月

    ⑤1年間 ⑥〇〇年4月1日

という具合に 労使で話し合い 協定書を結びます。

 

次に36協定で締結できる時間外労働時間の上限時間についてです。

 

原則 時間外労働が ①1ヶ月45時間以内 ②1年360時間以内です。

 

さらに 臨時的な特別の事情がある場合は、「特別条項」を結ぶことにより

以下の様に定めることができます。

 

①1年の時間外労働が720時間以内

②1ヶ月(単月)における時間外労働及び休日労働が100時間未満

③2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月5ヶ月及び6ヶ月の期間のいずれにおいても、

 時間外労働及び休日労働が月平均で80時間以内 

④時間外労働が月45時間(1年変形制度の場合は42時間)を超える

 月数は、1年に6ヶ月以内

 

特に③の平均80時間以内というのがくせ者です。

詳しくは下の厚生労働書のHPをご確認ください。

厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」

https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/pdf/000463185.pdf

厚生労働省「時間外労働上限規制 ”おなやみ解決”ハンドブック」

https://www.mhlw.go.jp/content/000761382.pdf

 

皆さんの事業所では、36協定の締結・届け出を忘れていませんか?

 

事業規模が小さくなるほど締結・届出がされていない傾向がみられます。

36協定の締結・届出に事業規模での特例はありません。

未締結・未届出で1日8時間を超えて労働をさせることは 法律違反となります。

勿論、罰則もあります。

労基署から提出を求められて慌てることのないようにご注意ください。

 

※長時間労働は心臓・脳血管疾患、メンタル不調など働く人々の健康に影響を及ぼします。

 場合によっては重大な労災事故へと発展してしまいます。

 特別条項を締結すれば年間720時間の残業を命じる事ができると言うことではありません。

 事業の発展のためには、そこで働く人たちが健康で生き生きとしていることが大切です。

 「事業運営」と「従業員の健康」の両面を考えて適切な時間での締結をお願いします。

2022-03-06 10:00:00

イクメンってなんだ?(育児休業)

毎週水曜日に日本テレビで放送されているドラマ「ムチャブリ! 私が社長になるなんて」

高畑充希さん演じる30歳の社長秘書がある日突然、子会社の社長を命じられ悪戦苦闘しながら

会社とともに成長していくドラマ。皆さん みてますか?

最近の若い子は Z世代っていうのかな? あんまりテレビみないそうですね。

30数年前、新人類といわれたX世代のオッサン 毎晩 ドラマ漬けの生活です。

 

さて2月23日に放送された 第7話のエピゾード 若かりし日の自分のことを思い出しました。

正社員として働く佐々川知美、仕事も家事も育児も両立しようと頑張ります。

それに応え 夫が家事を手伝うんです。

でも なにをやっても 雑、雑、ざつ・・・・・結局、後から知美がやり直すんですよ。

そして 夫の定番のひとこと

「どうせ俺がやっても 後から お前がやり直すんだろ!!」

あ~ 言っちゃった。ほんと 男って ダメですよね。

玄関に用意されているゴミ袋をゴミ置き場まで運んだら家事したと思ってますから。

家事も育児も お手伝いではなく 自分の役割として きちんとする。

そう認識することが重要なんだと思います。

まあ・・・ この件に関しては、反省しかありませんが(^_^;)

  

2020年の「人口動態統計(確定数)」(厚生労働省発表)によると

出生数は、84万835人となり前年と比べて2万4404人減少して調査開始以降、最少となりました。

日本の少子化が止まりません。

 

人口動態の年次推計(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei20/dl/04_h2-1.pdf

 

ニュースや新聞でも話題となりますが、この状況が続けば国内経済が立ち行かなくなる

社会保障制度が行き詰まるなど、様々な影響が出ることが予想されています。

 

そこで政府は考えたわけです。

出生率をあげて少子化を食い止めるためには現行の制度ではダメだ。

制度を変えて もっと育児休業を取得しやすい環境整備をしなければいけない。

 

ここで言う育児休業をとる主役は家事や育児に「雑」な男達です。

 (雑じゃない男性諸君 申し訳ない _(._.)_ )

 

育児休業は男女ともに取得が可能な制度ですが、

直近のデータ 厚生労働省:令和2年度雇用均等基本調査 図表2 でみると

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r02/03.pdf

取得率は、女性:81.6% 男性:12.65% 

男性の育児休業取得は前年と比較すると増加傾向にありますが、

まだまだ進んでいるとは言えません。取得日数も5日未満が多いんですよ。

 

つまり出生率があがらない要因のひとつとして男性が育児参加できていない現状をあげ 

その改善しないといけないと考えたわけです。

 

2025年までに『男性の育児休業取得率30%』

 

政府は、こう目標を掲げて いよいよ本気で法改正を進めています。

 

今回の法改正は、3段階で進められます。

第一段階 2022年4月1日施行

①雇用環境整備、個別の周知・意向確認措置の義務化

②有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(※)

第二段階 2022年10月1日施行

①産後パパ育休(出生時育児休業)の創設(※)

②育児休業の分割取得(※)

第三段階 2023年4月1日施行

〇育児休業取得状況の公表の義務化(従業員1,000人超の企業)

(※)については就業規則の改正が必要です。

詳しくは厚生労働省HPでご確認ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000789715.pdf

 

男性の育児休業? うちの会社は 関係ないよ。ちゃんと働いてもらわないと。

そんなこと思っていませんか?

 

皆さんの会社の最近の採用状況って どうですか?

新卒で10人採用したら 男女比が5:5 なんてことないですか?

中途で優秀な人材を採用した。その人が女性てことないですか?

 

逆の発想をしてみてください。

 

皆さんの会社の優秀な人材が、出産して育児休業を取る

その時、その配偶者となる男性が育児や家事に非協力的だったら

 

皆さんの会社の優秀な人材が、育児のために 会社を辞めることになるんです。

 

どの会社にとっても優秀な人材を採用して、定着させて能力を発揮してもらう 

そうして事業は発展していきます。それは、経済の発展にもつながっていくのです。

 

そんな優秀な人材を守るためにも 目の前だけのことばかりではなく

社会全体で この新しい制度を回していく必要があるのです。

家事や育児に「雑」な男たちに 家庭での役割をしっかり果たさせることも

企業の責任と考える時代になったのではないでしょうか。